年金・社会保障

老後資金はいくら必要?年金と家計から逆算する手順

merry

「老後までに、結局いくら資産を作ればいいのか」

資産形成を始めてからも、僕はこの目標をうまく決められずにいました。
年金がいくらになるか分からないまま、「老後資金は多いほどいい」と考えていたからです。

でも、必要額が分からないままでは、今の投資額が多いのか少ないのかも判断できません。

そこで今回は、老後の生活費と年金の見込み額から、必要な資産額を逆算する手順を整理しました。
想定しているのは、年金の知識は詳しくないけれど、自分の家計に合った老後資金の目安を知りたい人です。

先に結論を書くと、最初に決めるのは「老後資金○千万円」ではありません。

老後の毎月の支出から、夫婦それぞれの年金見込み額と、そのほかの継続収入を引く。残った月額差を埋めるために、必要な資産を考える。

この順番なら、誰かの平均ではなく、自分の家計をもとに目標を作れます。

老後資金は「毎月いくら足りないか」から逆算する

僕が最初に押さえておきたいと思った式は、次の2つです。

毎月の不足額 = 老後の毎月の支出 − 夫婦の年金見込み額 − そのほかの継続収入

4%を目安にした必要資産 = 毎月の不足額 × 12か月 ÷ 0.04

ここで使う4%は、必要資産の大きさを仮置きするための目安です。取り崩し方や注意点は後半で触れます。

たとえば、老後の支出を月27万円、夫婦の年金見込み額を合計22万円、そのほかの継続収入を0円と仮定します。

この場合の不足額は月5万円です。年間では60万円なので、4%で逆算した必要資産は1,500万円になります。

これは一般的な計算例で、僕自身の年金額や家計ではありません。
また、1,500万円あれば将来も大丈夫だと保証する計算でもありません。

それでも、「何となく数千万円」だった目標が、「月5万円をどう埋めるか」に変わります。僕には、この順番のほうが考えやすいと感じました。

不足月額ごとの目安は、次のとおりです。

毎月の不足額年間の不足額4%で逆算した必要資産
1万円12万円300万円
2万円24万円600万円
3万円36万円900万円
5万円60万円1,500万円
8万円96万円2,400万円
10万円120万円3,000万円

覚え方は、毎月の不足1万円につき、必要資産は300万円です。

まずはこの表で仮の目標を置き、年金額や家計が変わるたびに更新していけばいいと考えています。

まず、夫婦それぞれの年金見込み額を確認する

令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの場合、1人あたり月70,608円です。

日本年金機構が示す「標準的な年金額」は、夫婦2人で月237,279円です。ただし、これは全員が受け取れる平均額ではありません。

平均的な収入で40年間働いた1人分の厚生年金と、夫婦2人分の満額の基礎年金を合わせたモデルです。夫婦それぞれの加入期間や収入が違えば、実際の合計額も変わります。

そのため、モデル年金をそのまま自分の家計に入れるのではなく、夫婦それぞれの見込み額を確認して足す必要があります。

見込み額は、日本年金機構の「ねんきんネット」で、今後の働き方などの条件を設定して試算できます。

なお、50歳未満の人に届く「ねんきん定期便」の年金額は、基本的にこれまでの加入実績に応じた金額です。今後も働き続けた場合の最終的な見込み額とは限らないので、老後の試算にはねんきんネットの利用が分かりやすいと思います。

厚生年金が年収や加入年数によってどう変わるのかは、18本目の別記事で整理する予定です。

今の家計から、老後の生活費を仮置きする

年金額の次は、老後に毎月いくら使いそうかを考えます。

ここで全国平均を使ってしまうと、自分が持ち家か賃貸か、車を持つか、どんな生活を続けたいかが反映されません。

僕も資産形成の前に、まず家計を見える化しました。そのときの手順は「勤務医が資産形成の前にやったこと。まず家計を見える化する」にまとめています。

老後資金を考えるときも、現在の家計を土台にして、次の項目を1つずつ変えていきます。

老後の支出項目確認すること
住居費賃貸なら家賃と更新費。持ち家でも固定資産税、管理費、修繕費など
食費・日用品現在の夫婦分を基準にする
水道光熱費・通信費退職後も続く固定費を残す
車・交通費車を維持する期間、買い替え、公共交通費
医療・保険現在の負担だけでなく、老後用の予備費も仮置きする
税金・社会保険料年金の額面と手取りを混同しないため、支出側に仮置きする
旅行・趣味・交際費老後も続けたい生活として入れる
臨時支出家電、冠婚葬祭、住宅修繕などを年額で見積もり、12で割る

一方で、退職後になくなる通勤費や、終了している教育費、完済予定の住宅ローンなどは差し引きます。

最初から正確な金額を当てる必要はありません。
今の支出を起点に「残るもの・減るもの・増えそうなもの」を分けるだけでも、自分なりの生活費が見えてきます。

年金を額面で置くなら、税金や社会保険料も支出に含める。年金の手取り見込みを使うなら、その分を重ねて引かない。額面同士か、手取り同士でそろえることも大切です。

4%は、必要資産を仮置きするために使う

この記事の4%は、必要資産の大きさをつかむための目安であり、運用成果や資産が何年もつかを保証する数字ではありません。取り崩しには、退職時の資産を基準に金額を決める方法と、その年の資産残高に一定率を掛ける方法があり、受取額と資産の減り方が異なります。

この記事ではどちらかを勧めず、毎月の不足額から出発点を計算するためだけに4%を使います。違いと注意点は、「老後資金の取り崩し方|定額方式と定率方式の違いを調べた」で整理しています。

配当や家賃収入などの不労所得は、手取りで差から引く

不足額を埋める方法は、資産の取り崩しだけではありません。

長く働く、支出を調整する、配当や家賃収入などの不労所得を作る、といった方法を組み合わせられます。

僕は高配当株と不動産投資を続けていますが、ここでも額面の収入をそのまま使わないようにしています。

配当には減配や株価変動があり、税金もかかります。不動産の家賃収入も、管理費、修繕費、税金、空室、ローン返済などを引いたあとの手残りで考える必要があります。

不動産投資の広告にある想定家賃をどう確認したかは、「不動産投資の想定家賃は妥当?僕が自分で確認した方法」にまとめています。

同じ資産の配当を差から引き、その資産を4%の計算にも含めると、同じお金を2回数えることになります。配当を収入として数えるか、資産全体を4%の計算に使うか、どちらかにそろえます。

まとめ:老後資金の目標は、4つの数字で作れる

老後資金の目標を考えるために、最初にそろえる数字は4つです。

夫婦それぞれの年金見込み額
現在の家計から仮置きした老後の毎月の支出
配当や家賃など、そのほかの継続収入の手取り
1〜3から計算した毎月の不足額

スマホのメモに「老後の支出 − 年金と継続収入 = 毎月の不足額」と書けば、最初の計算を始められます。

不足額が出たら、月1万円につき300万円を目安に、4%で必要資産を仮置きできます。

僕も、将来を正確に予測することはできません。
それでも、誰かの平均額を見て不安になるより、自分の年金と家計を並べたほうが、次に何をすればいいかは見えやすくなります。

まずは、ねんきんネットで夫婦それぞれの見込み額を確認する。
次に、今の家計から老後の生活費を1度だけ仮置きする。

そこで出た差が、老後に向けた資産形成の出発点になります。

出典

日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html(2026年8月29日確認)
日本年金機構「年金見込額試算」 https://www.nenkin.go.jp/denshibenri_kojin/n_net/introduction/estimatedamount.html(2026年8月30日確認)
日本年金機構「50歳未満の方(ねんきん定期便)」 https://www.nenkin.go.jp/section/faq/nteikibin/teikibin/gaiyou/20140602-04.html(2026年8月30日確認)
William P. Bengen,「Determining Withdrawal Rates Using Historical Data」 https://www.financialplanningassociation.org/sites/default/files/2021-04/MAR04%20Determining%20Withdrawal%20Rates%20Using%20Historical%20Data.pdf(2026年8月30日確認)
Vanguard,「Show clients that, yes, they can spend more in retirement」 https://advisors.vanguard.com/insights/article/show-clients-that-yes-they-can-spend-more-in-retirement(2026年8月30日確認)

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勤務医
30代、勤務医。 家族との時間と、人生の選択肢を増やしたいと思い、資産形成を始めました。 個別株や信用取引で失敗した経験もあります。 今は、家計管理、インデックス投資、高配当株、不動産投資について、 実際に調べ、試したことを一つずつ記録しています。 成功した方法を教えるブログではありません。 まだ試行錯誤している途中の記録です。
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