企業型DCの掛金上限は2026年12月に6.2万円へ|4月のマッチング拠出改正も整理
「企業型DCの上限が2026年に変わるらしい。勤務先からの案内は読んでいない。自分は何かしなければいけないのだろうか」
僕はiDeCoをやっておらず、企業型DCに加入しています。ただ、制度の中身は体験談ではなく、厚生労働省の資料を確認して整理した記録です。
この記事は、企業型DCに加入している勤務医・会社員に向けて書いています。運用商品の選び方、マッチング拠出とiDeCoのどちらが得かの比較、iDeCoの新規加入の手順は、この記事では扱いません。
先に結論を書きます。2026年に変わることは2つあり、性質が違います。4月に変わったのはマッチング拠出の制限で、12月に変わるのが拠出限度額そのものです。
結論|4月は制限の撤廃、12月は5.5万円から6.2万円へ
企業型DCは2026年に2段階で変わります。4月に変わったのはマッチング拠出の制限、12月に変わるのが拠出限度額そのものです。
- 2026年4月1日:マッチング拠出の「加入者掛金が事業主掛金を超えられない」という要件が撤廃されました
- 2026年12月1日:企業型DCの拠出限度額が、月5.5万円から6.2万円に引き上げられます
(出典:厚生労働省「国民年金基金令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」令和7年12月24日 年発第1224001号、厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」、政令通知は2026年9月8日確認、Q&Aは2026年9月6日確認)
ただし、6.2万円は全員にそのまま当てはまりません。 DB(確定給付企業年金)などを併用している場合は、6.2万円から他制度掛金相当額を差し引いた額が上限になります(出典:厚生労働省「企業型DCの拠出限度額が5.5万円から6.2万円に引き上げられます!」、2026年9月8日確認)。
そして、上限が上がることと、自分の掛金が増えることは別です。 事業主掛金は勤務先が決めます。マッチング拠出は勤務先の規約に定めがある場合だけ使えます。
この記事では、用語の整理→4月の変更→12月の変更→計算例→確認すること4つ、の順に見ていきます。
僕は税理士でも社会保険労務士でもありません。数字の確認や手続きは、勤務先の担当窓口や運営管理機関に問い合わせてください。
用語の整理|事業主掛金・マッチング拠出・iDeCoは、誰が払うかで分かれる
企業型DCに関わるお金の動きは、「誰が払うか」で3つに分かれます。
| 用語 | 誰が払うか | どこで決まるか |
|---|---|---|
| 事業主掛金 | 勤務先 | 勤務先の規約 |
| マッチング拠出(企業型年金加入者掛金) | 加入者本人(上乗せ) | 勤務先の規約に定めがある場合のみ |
| iDeCo(個人型年金加入者掛金) | 加入者本人 | 別制度。自分で申し込み、運営管理機関も自分で選ぶ |
企業型DCは、勤務先が制度を持ち、運営管理機関も勤務先が選びます。マッチング拠出は、本人が事業主掛金に上乗せして払う掛金で、「予め規約に定めておけば」使える制度です(出典:厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」、2026年9月6日確認)。規約に定めがなければ使えません。
iDeCoは、企業型DCの一部ではなく別の制度です。自分で申し込み、企業年金の加入状況などによって利用条件と上限が決まります。事業主があらかじめiDeCoの運営管理機関を選定することはできない、という趣旨の回答も同じQ&Aにあります(同上)。
「拠出限度額」とは、月ごとに拠出できる上限の金額のことです。
2026年4月に変わったこと|マッチング拠出の「事業主掛金まで」がなくなった
2026年4月1日、マッチング拠出の「加入者掛金は事業主掛金を超えられない」という要件が撤廃されました。
厚生労働省の資料には、次のように書かれています。
「企業型DCのマッチング拠出について、加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。」(出典:厚生労働省「令和7年度税制改正に関する参考資料」第39回社会保障審議会企業年金・個人年金部会、2026年9月6日確認)
施行日は2026年4月1日で、同じQ&Aには「加入者掛金は令第11条又は第11条の2に定める拠出限度額から事業主掛金を控除したものとする旨を予め規約に定めておけば」という記載があります(出典:厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」、2026年9月6日確認)。事業主掛金が少なくても、拠出限度額の範囲内であれば本人が埋め合わせられる形になった、と読めます。
ただし「予め規約に定めておけば」という条件つきです。勤務先が規約を変えて初めて使えるので、4月1日に全員の上限が自動で変わったわけではありません。
一方、変わっていないこともあります。マッチング拠出とiDeCoは、どちらか一方を選ぶ仕組みのままです。
厚生労働省のQ&Aは、マッチング拠出を導入している企業型DCの加入者について、加入者掛金を拠出していない場合はiDeCoに加入できるとしたうえで、「企業型DCの加入者掛金を拠出するのか、個人型DCに加入するかは本人が選択できる」と説明しています(出典:厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」No.71-32、2026年9月6日確認)。
つまり、マッチング拠出で自分の掛金を出している間は、iDeCoには入れません。どちらを選ぶかは自分で決められます。
2026年12月に変わること|6.2万円がそのまま当てはまらない人がいる
2026年12月1日、企業型DCの拠出限度額が月5.5万円から6.2万円に引き上げられます。ただし、これは上限であって、全員がこの額まで拠出できるわけではありません。
厚生労働省の通知には、次のように書かれています。
「現在5.5万円となっているところ、税制改正大綱を踏まえ、6.2万円に引き上げる」(出典:厚生労働省「国民年金基金令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」令和7年12月24日 年発第1224001号、2026年9月8日確認)
政令番号は「令和7年政令第442号」、公布は令和7年12月24日、施行は令和8年12月1日です(同上)。実際に勤務先の制度へ反映される時期や手続きの期限は、勤務先の案内で確認することになります。
DB(確定給付企業年金)などを併用している人も、今回の改正の対象です。厚生労働省のリーフレットは「月額6.2万円を上限とし、上限から確定給付企業年金(DB)などの他制度掛金相当額を差し引いた範囲内となります」と説明しています(出典:厚生労働省「企業型DCの拠出限度額が5.5万円から6.2万円に引き上げられます!」、2026年9月8日確認)。
さらに、経過措置の対象になっている人は金額が変わりません。政令通知には「経過措置の適用を受けている他制度加入者の各月限度額は、同項ただし書きに該当しない限り、引き続き2.75万円となる」とあります(出典:同通知、2026年9月8日確認)。自分がこの経過措置の対象かどうかは、勤務先に確認することになります。
なお、検索すると出てくる「2024年12月」の改正は、公務員共済組合やDB加入者向けの別の改正です(出典:厚生労働省「2024年12月から、iDeCoの拠出限度額が1.2万円→2万円になります!」、2026年9月6日確認)。今回とは対象も仕組みも違います。
なお企業型DCもiDeCoも、原則として60歳になるまで受け取れません(出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」、2026年9月6日確認)。障害や死亡の場合など、例外は定められています。
計算例|事業主掛金2万円なら、本人が出せる上限はこう変わる
上限の式は「拠出限度額 − 事業主掛金」です。条件を固定すると、変化が見えます。
前提は、企業型DCのみに加入(DB等の併用なし)、勤務先の規約が改正に対応済み、事業主掛金は月2万円のまま、とします。
| 時期 | 事業主掛金 | 本人が出せる上限 |
|---|---|---|
| 2026年3月まで | 2万円 | 2万円 |
| 2026年4月〜11月 | 2万円 | 3.5万円 |
| 2026年12月以降 | 2万円 | 4.2万円 |
3月までは「本人の掛金は事業主掛金を超えられない」ので2万円が上限でした。4月の制限撤廃で5.5万円−2万円=3.5万円まで、12月からは6.2万円−2万円=4.2万円までになります。
厚生労働省のリーフレットにも拠出例が2つ載っていますが、2つは事業主掛金の額が異なる別条件の例なので、同じ人の改正前後の比較としては読めません(出典:同リーフレット、2026年9月8日確認)。
この表は公式の上限式にあてはめた計算例です。実際の金額は、勤務先の規約、事業主掛金の額、DB等の有無で変わります。
自分が確認すること4つ|規約・事業主掛金・どちらを使えるか・窓口
自分の上限を知るために確認することは、次の4つです。
- 勤務先の企業型DCにマッチング拠出の制度があるか。 規約に定めがなければ使えません。勤務先の担当窓口か運営管理機関の案内で確認します
- 事業主掛金はいくらか、DB等を併用しているか。 この2つが分からないと、自分がいくらまで出せるかを計算できません。DB等がある場合は、上限から他制度掛金相当額を引きます
- マッチング拠出とiDeCoのどちらを使えるか。 両方は使えません。マッチング拠出をしていなければ、要件を満たしたうえでiDeCoを選べます
- 掛金を変える手続きの窓口と期限。 勤務先経由か運営管理機関経由か、12月分からの上限に合わせるならいつまでに手続きが必要かを、勤務先の案内で確認します
マッチング拠出とiDeCoの掛金は、どちらも小規模企業共済等掛金控除の対象です(出典:国税庁タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」、2026年9月6日確認)。iDeCoは個人払込か事業主払込かで年末調整の手続きが変わり、事業主払込を選んだ場合は払込証明書が発行されません(出典:iDeCo公式サイト「よくあるご質問」、2026年9月8日確認)。控除の効き方は控除は、知っているかどうかで差がつく。で整理しています。
「増やすかどうか」は、この4つを確認したあとの判断です。この記事は加入や増額を勧めません。原則60歳まで引き出せないことを踏まえて、毎月無理なく続けられる額から考えることになります。
まとめ|4月と12月は別の改正。上限は式で決まる
2026年4月に変わったのはマッチング拠出の制限、12月に変わるのが拠出限度額です。上限は「拠出限度額 − 事業主掛金」で決まり、DB等があればさらに他制度掛金相当額を引きます。
上限まで入れるかどうかは、上の4つを確認したあとの判断です。60歳まで使わないお金として、毎月いくらなら無理がないかを先に決めることになります。
年金や税の扱いは、勤務先の規約や個々の事情によって変わります。この記事は僕が公的な資料を確認して整理したものであり、助言ではありません。制度の適用は勤務先の担当窓口や運営管理機関、税務署に確認してください。
僕も、自分の規約と事業主掛金の額を確かめるところからです。
出典
- 厚生労働省「国民年金基金令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」(令和7年12月24日 年発第1224001号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9646&dataType=1&pageNo=1 (2026年9月8日確認。企業型DCの各月限度額を6.2万円へ引き上げること、他制度加入者は他制度掛金相当額を控除すること、経過措置の適用を受けている他制度加入者は引き続き2.75万円であることを確認)
- 厚生労働省「企業型DCの拠出限度額が5.5万円から6.2万円に引き上げられます!」 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001739467.pdf (2026年9月8日確認。上限からDB等の他制度掛金相当額を差し引くこと、マッチング拠出の上限が「6.2万円−事業主の拠出額」になること、拠出例2つを確認)
- 厚生労働省「確定拠出年金Q&A(令和8年4月1日施行)」 https://www.mhlw.go.jp/content/000653917.pdf (2026年9月6日確認。施行日、「予め規約に定めておけば」の条件、No.71-32のマッチング拠出とiDeCoの選択)
- 厚生労働省「令和7年度税制改正に関する参考資料」(第39回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 参考資料1) https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001365075.pdf (2026年9月6日確認。マッチング拠出の要件廃止)
- 厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html (2026年9月6日確認。原則60歳に到達した場合に受給できる旨と例外)
- 厚生労働省「2025年改正の施行について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html (2026年9月6日確認。2026年4月1日施行と2026年12月1日施行の2段階)
- 厚生労働省「2024年12月から、iDeCoの拠出限度額が1.2万円→2万円になります!(国家公務員・地方公務員の皆さまへ)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001252904.pdf (2026年9月6日確認。公務員・DB加入者向けの資料)
- 国税庁タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm (2026年9月6日確認)
- iDeCo公式サイト「よくあるご質問」 https://www.ideco-koushiki.jp/faq/ (2026年9月8日確認。第2号被保険者は個人払込または事業主払込を選べること、事業主払込を選択した加入者には小規模企業共済等掛金払込証明書が発行されないことを確認)
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