節税は、税金の決まり方を知ることから始まった。
『本当の自由を手に入れる お金の大学』を読み直すなかで、税金の仕組みも改めて確認しました。
それまでの僕は、「収入が増えると税率が上がる」という程度の理解でした。けれど、実際の税額は収入に税率を掛けるだけでは決まりません。
この記事は、収入と所得の違いが分からず、節税の前に税金の基本を知りたい人向けです。
税金は、いくつかの段階を踏んで決まる
結論からいうと、所得税の計算は次の順番で進みます。
| 段階 | 何をするか | 計算後の金額 |
|---|---|---|
| 1 | 収入から給与所得控除などを引く | 所得 |
| 2 | 所得から所得控除を引く | 課税所得金額 |
| 3 | 課税所得金額に税率を適用する | 所得税額 |
| 4 | 所得税額から税額控除などを引く | 基準所得税額 |
| 5 | 復興特別所得税を加え、源泉徴収税額などと精算する | 納付額または還付額 |
つまり、収入と、実際に税率を掛ける課税所得金額は同じではありません。税率を掛けたあとにも計算があります。
参考:国税庁「No.1000 所得税のしくみ」(2026年8月27日確認)
収入から「所得」を計算する
給与を受け取っている人の場合、勤務先から支払われた給与や賞与などが「給与収入」です。そこから給与所得控除を差し引いた、税金を計算する土台となる金額が「給与所得」です。
給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得
給与所得控除は給与収入に応じて計算され、収入全額がそのまま所得になるわけではありません。
所得は給与所得を含めて10種類あります。副業収入の所得区分は内容によって変わるため、「副業だから事業所得」とは一律に決められません。詳しくは次の記事で整理します。
参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」(2026年8月27日確認)
所得から「課税所得」を計算する
次に、所得から所得控除(家族構成や社会保険料などの事情を反映する仕組み)を差し引きます。残った、実際に税率を掛ける金額が「課税所得金額」です。
所得 − 所得控除 = 課税所得金額
所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、医療費控除、寄附金控除など16種類あります。
給与所得控除:給与収入から給与所得を求めるときに差し引く
所得控除:所得から課税所得を求めるときに差し引く
基礎控除は令和7年度に見直され、令和7・8年分では所得が少ない人ほど控除が大きくなりました。金額や経過措置は国税庁の最新情報をご確認ください。
参考:国税庁「No.1199 基礎控除」(2026年8月27日確認)
個々の所得控除の内容は、シリーズ2本目で扱います。
課税所得から所得税額を計算する
課税所得金額が出たら、そこに所得税率を適用します。
所得税率は、分離課税となる所得などを除き、5%から45%までの7段階です。
課税所得金額 × 税率 − 速算表の控除額 = 所得税額
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額(速算のための調整額) |
|---|---|---|
| 1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
超過累進税率では、高い税率が適用されるのは、その境目を超えた部分です。所得全体が突然、高い税率に置き換わるわけではありません。表の控除額は、段階ごとの税率を一つの式で計算するための調整額です。所得控除や税額控除とは別物です。
具体例:給与収入500万円の場合
ここでは、給与収入500万円、所得控除の合計100万円と仮定します。100万円は計算の流れを示すための仮定で、実際の控除額ではありません。
1.給与所得を計算する
給与所得控除:500万円 × 20% + 44万円 = 144万円
給与所得:500万円 − 144万円 = 356万円
2.課税所得金額を計算する
356万円 − 所得控除100万円 = 256万円
3.速算表で所得税額を計算する
課税所得256万円は税率10%、調整額97,500円の区分です。
256万円 × 10% − 97,500円 = 158,500円
この158,500円は、税額控除、復興特別所得税、源泉徴収税額などとの精算を行う前の所得税額です。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」(2026年8月27日確認)
税率を掛けたあとにも計算がある
所得税額が出ても、まだ最終的な納税額ではありません。税額控除(計算後の税額から直接差し引く仕組み)などを引き、基準所得税額を計算します。
その基準所得税額に2.1%を掛けたものが復興特別所得税です。平成25年から令和19年まで、所得税と併せて申告・納付することになっています。
最後に、基準所得税額と復興特別所得税額の合計から、源泉徴収税額(給与などからあらかじめ引かれた所得税)や予定納税額などを差し引きます。差額が納付額となり、先に納めた金額が多ければ還付になることもあります。
住民税は所得税とは別に計算される
個人住民税は所得税とは別に計算され、前年の所得に応じた「所得割」と、定額の「均等割」からなります。標準では、所得割は10%、均等割は年4,000円です。
さらに、令和6年度からは、個人住民税の均等割と併せて森林環境税が徴収されています。森林環境税は住民税ではなく国税で、年額1,000円です。そのため、標準税率の自治体では、均等割4,000円と合わせて年5,000円となります。
自治体によっては超過課税があり、実際の金額が標準と異なる場合があります。自分の金額は、住んでいる自治体の案内で確認できます。
参考:総務省「個人住民税」、林野庁「森林環境税及び森林環境譲与税」(いずれも2026年8月27日確認)
税金の流れが分かると、節税の話も確認しやすくなる
所得税は、単純な「収入×税率」では決まりません。収入から所得、課税所得、所得税額へと段階を踏み、その後に税額控除や精算があります。
僕自身、この順番を知って初めて、3つの控除が別の段階にあると理解できました。仕組みを知ることは、「節税になる」と聞いたときに何が差し引かれるのかを確かめる土台になります。
次回は、この流れのなかにある所得控除の中身と、副業収入が給与所得・事業所得・雑所得などのどこに分類されるのかを整理します。
続きは、控除は、知っているかどうかで差がつく。にまとめました。
税金の仕組みを確認するきっかけになった本
今回、税金の仕組みを改めて確認するきっかけになったのは『お金の大学』でした。この本自体の感想は、別の記事にまとめています。
Amazonで見る(【改訂版】本当の自由を手に入れる お金の大学)

